【基礎知識】それって本当にニキビ?おでき、粉瘤、面疔などとの違い

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ニキビ

ニキビ、吹き出物、おでき…同じ皮膚のできものでも、違う呼び方をすることが多々あります。そもそも、それらの違いを知っているという人はそんなに多くはないのではないでしょうか。
ニキビだと思ってケアしていたものが、実際はニキビではなく別のできものだった…!ということも大いにありえます。適切な対処法が異なるので、それぞれのできものの違いを覚えておくと良いですよ。

できものの種類

できものなどの皮膚の炎症は様々な種類があり、いずれも特別な病気ではなく誰がなってもおかしくないものばかり。
ニキビと、ニキビに間違えられるものについてそれぞれの原因や症状を見ていきましょう。

ニキビ・吹き出物

思春期にできるものをニキビ、大人になってからできるものを吹き出物と呼び分けることがありますが、いずれも同じもので医学的には「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」と言います。毛穴が皮脂によって塞がれ、それによって常在菌であるアクネ桿菌が繁殖することで発生します。
思春期にできるものは、成長期のホルモンの働きにより皮脂が過剰に分泌されることが原因です。おでこや頬などにできるケースが多く見られます。大人になってからできるものは不規則な生活や乱れた食生活、睡眠不足、ストレス、ホルモンバランスの乱れなど複数の要素が重なることで発生することが多く、同じ場所にしつこくでき治りにくいのが特徴です。

おでき

正式には「癤(せつ)」と言い、複数のせつが繋がった状態を「癰(よう)」と言います。
毛穴の奥、毛包や毛嚢と呼ばれる毛根を包んでいる部分が細菌に感染することにより炎症を起こし毛包炎(毛嚢炎)になり、それが進行し化膿して赤く膨らむことで、おできと呼ばれる状態になります。
ニキビは毛穴が詰まってアクネ桿菌が活動することで発生しますが、おできは毛包が黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌、マラセチアなどの細菌に感染することで発生します。
年齢関係なく毛穴がある部位であれば全身どこでもでき、とくに首周りや太ももや臀部など擦れやすいところに比較的よく見られます。

面疔(めんちょう)

おできと同じものです。顔の中心部にできたものを「面疔(めんちょう)」と呼びます。
男性の場合、ひげ剃りが原因で毛穴に細菌が入り炎症を起こすことで発生する場合もあります(いわゆるカミソリ負け)。その場合の正式名称は「尋常性毛瘡(じんじょうせいもうそう)」と言います。

マラセチア毛包炎

おできと同じように、毛包にマラセチアという菌が入ることで引き起こされます。
カビ菌の一種であるマラセチアは誰の肌にも存在する常在菌で、いくつかの皮膚疾患の原因のひとつとなることがあります。そのなかのひとつであるマラセチア毛包炎は、マラセチアが皮脂や多湿を好むため、とくに高温多湿の季節に衣類で汗が蒸れやすくなることで背中や胸元、肩、腕などに発生する皮膚疾患です。
赤いブツブツの見た目がニキビとよく似ているため注意が必要ですが、かゆみを伴う点がニキビと異なる特徴です。

脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎もマラセチアによって引き起こされる、30代以上の成人がかかりやすい疾患です。
発症すると、皮脂が多く分泌される鼻やその周辺、頭皮、額やこめかみなどの部位にフケのようなものが付着し肌が赤く湿疹を起こしてしまうのですが、このときニキビに似た状態になることがあります。もともとニキビのできやすい部位に起きる病気なので、大人ニキビと間違えてしまうケースがあります。同じマラセチアが原因ですが、毛包炎よりかゆみが少ないこともあり、状態によっては大人ニキビと似た見た目になることがあります。

粉瘤(ふんりゅう)

粉瘤(ふんりゅう)はアテロームや表皮嚢腫とも呼ばれ、毛包の上部分が拡張するなどして袋状になり、そこに角質や脂肪などが溜まってしまう症状を指します。開口部が酸化して黒く見えるため、小さいうちは黒ニキビによく似ており見分けることは困難です。
ですが粉瘤は放置しておくとさらに老廃物を溜め込み、少しずつ大きくなるのが特徴です。
中身が排出されることで一時的に良くなることはありますが、皮膚下の袋がなくならない限りまた再発するため、皮膚科で簡単な摘出手術を受けない限りは完治しません。

酒さ・酒さ様皮膚炎

酒さ(しゅさ)は鼻を中心とした部分の毛細血管がなんらかの原因により拡張し、それにより赤みやほてりを帯びる、主に中高年以降に見られる病気です。酒さ様皮膚炎はステロイド外用薬や内服薬による副作用の一種で、酒さと類似した症状が生じます。
いずれも毛包や皮脂腺を中心とした炎症を起こし、症状が進むと丘疹が発生するため大人ニキビによく似た状態となります。

顔面播種状粟粒性狼瘡(がんめんはしゅじょうぞくりゅうせいろうそう)

顔面播種状粟粒性狼瘡(がんめんはしゅじょうぞくりゅうせいろうそう)は、目の周りや鼻、頬、口周りなどに赤い丘疹や膿疱ができる病気です。やはりニキビに似た見た目をしていますが、通常ニキビが発生しにくい目の周りに多く発生するのが特徴です。毛穴や毛包の異物(壊れた細胞など)に免疫反応が働いてしまうことが原因と考えられています。
比較的珍しい病気で、年代問わずかかることがあります。

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症状の改善のためには

ただのニキビだと思ってニキビ用ケアをしていても、それがニキビではなくほかの疾患だった場合治らないどころか悪化する恐れすらあります。
大きいくくりで見れば同じ毛穴の炎症であっても、原因や状態は違うため適した薬が違ったり治療法も異なったりします。例えば粉瘤はセルフケアでは完治せず、酒さは保湿すること自体が禁忌です。

わからなければ皮膚科を受診する

ニキビなのかそうでないものなのか、素人にはなかなか見分けがつかないものもあります。また、ニキビと脂漏性皮膚炎が同時に発症するなど、異なる疾患同士が併発している場合もあります。
少しでも様子が違ったり、ほかの疾患と見分けがつかなかったりするようであれば迷わず皮膚科を受診してしまいましょう。

まとめ

意外と知らないできものの違い。ニキビに似た見た目を持つ疾患は思いのほかあります。見た目が似ているから対処法も同じ、というわけにはいきません。
ニキビでもそうでなくとも、適切な対処を行ってきれいに治したいですね。

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